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      イデア・インターナショナル株式会社を代表して

​代表取締役・CEO  笠間 泰彦 Ph.D. of Engineering

 私たちは、東北大学の基礎研究の蓄積を基にして、世界で初めてリチウムイオン内包フラーレンの大量合成と実在証明を成功に導き、現在、その不思議で魅力的な分子を製造・販売する世界で唯一の企業です。

 東日本大震災の直後、この分子がボトムアップ・ナノテクノロジー実用化時代の大切な基幹材料のひとつとなることを確信し、そのためにも多くの若い挑戦的研究者の手に届け続けようと決心して、イデア・インターナショナル株式会社を創設しました。

 設立に当たって私たちは次のように記しました。

2011 年 3 月 11 日、東日本一帯を襲った大震災は、人間が大きな自然の中に生まれ育まれた生命のほんの一滴であることを改めて私たちに思い知らせました。なかでも福島第一原子力発電所で発生した出来事は、その後現在も続く現場における多くの人たちの献身的で命がけの作業にもかかわらず、人間を含む地球環境に及ぼすであろう影響の深刻さから決して目 を背けてはいけないと私たちに訴えています。とりわけ科学・技術に関わる私たちはこの事実の全てを真摯に受け止めそして乗り越え新しい未来に繋げる営みの中でその役割を果たすべきだと思うのです。』

 

そして、『もう一度、科学・技術とそれに携わる人間の本来のあるべき姿に思いを馳せて、全身全霊を注いで動き出すことができたなら、日本の科学者、技術者にとってこれほど意義のある時代は望んでも遭遇できることではないとも思うのです。私たちイデア・インターナショナルはこのリチウムイオン内包フラーレンを、価格面も含めてもっと使いやすい材料にすること、そしてほかの元素やイオン、分子種を内包させることに挑戦します。自らも応用開発の一翼を担い、みなさまのお役に立つことを通して社会の発展に貢献してゆこうと思います。』(青字原文)

 

 あれから10年を経ました。内外を問わず多くの挑戦的な研究者の手によって次々と新しい物性が明らかになり、リチウムイオン内包フラーレンならではの応用に係る論文も発表され始めました。株式会社深松組様の多大な資本参加を背景に、『自らも応用開発の一翼を担い、みなさまのお役に立つことを通して社会の発展に貢献』すべく、いくつかの応用開発プロジェクトも開始しています。そのひとつの、松尾豊教授(当時東京大学、現名古屋大学)研究グループが示した、LiEFを用いたペロブスカイト太陽電池長寿命化は、この材料の本質的な特性に起因するものです。私たちはこれを実用的な技術とすべく、開発に注力しています。

 また、新しい内包種への挑戦、基礎物性の解明と次元融合ナノ物質の創製とその応用など、ボトムアップ・ナノテクノロジーの実用化時代を展望する、『次元融合ナノ物質科学寄附講座』が東北大学大学院理学研究科共同実験棟でスタートしました。若手研究者の育成を重要な任務の一つとする、この研究プロジェクトとの連携は、10年前の約束を実現する上で決定的に重要だと考えています。

具体的な応用研究が見え始まる今、改めて『価格面も含めてもっと使いやすい材料にすること』即ち、飛躍的な生産性の向上の課題に取り組む必要性を強く感じています。

 

 10年を経て、地味ではありますが、リチウムイオン内包フラーレンの実用化に向けた流れは、かかわるメンバーの、分野、国籍、世代も、確実に広がってきました。今、その流れを確実なものにするために、皆様と共に、あらゆる機会を着実にとらえるべく果敢に挑戦を続けます。

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